注意:まぁ、ネタです。
メインとは関係ない話ですが、名前と若干の設定だけ持ってきて出来てます。
これだけでも充分読めます。名前が同じ別人と思って下さっても構いません!
それでも良ければ!ドゾ!








 夜の埠頭に響くのは、遠い海に浮かぶ船の音のみで、静かなものだった。
 暗闇にうめき声が僅かに聞こえたが、それもほんの一瞬で、耳に入れた者は恐らくどこかで誰かが聞いているラジオの雑音程度にしか思わなかっただろう。
 しかし、その時灯台の光が流れ、コンクリートに倒れている男の背を一瞬照らした。小量の血が付着した手は痙攣し、その無念さを訴えている。
「貴様ぁ……」
 蚊の鳴くような声で呻いた彼を嘲笑うかのように光は動き、彼を見下す少年を白く照らす。
 薄い茶色い色の短い髪、その両耳にはいくつか重いピアスがつけられていた。そして、他に特記する事があるとしたらただ一つ。
 その、青い双眸。
 まさに氷のようなその2つの目は倒れている男を冷たく見下し、小さく舌打ちした。
「これに懲りたら二度と俺の後なんてつけるんじゃねぇぞ」
 赤い舌を出し、そのついでに自分の手に出来た思わぬ傷を舐め、応急処置を施した。その手には幾つも銀色の指輪がはめられていて、その一つが自分の血で汚れてしまっているのに彼は眉間を寄せる。
 そして、その視線はそのまま手首につけられているこれまた頑丈そうな黒い腕時計に釘付けになる。短針は7、長針は3を指していて、思わず彼は声を上げそうになった。
 いや、声上げる暇あるなら走れ、自分。
 しかし慌てて駆け出そうとしたその足首を、倒れていた男が掴んだ所為で少年は顔からコンクリートに打ち付ける羽目になる。
「ちょっ……!お前……!」
 思わぬ反撃に少年は慌てて藻掻いたが、屈強な男の手は意地でもその手を離す気は無いらしい。無意識なのか、いくら蹴っても反応がない。何という執念だろう。
 少年が涙目になって彼を蹴飛ばし、その手から逃れようとしていたのは、その力に負けたからでも執念に恐怖を抱いたのからでもない。
「俺、夕食の準備しないといけないんだぞ……!!」
 そう嘆いた少年の声は僅かに恐怖に引きつっていた。






 いくつものいかにも高級といった装飾がされた窓から淡い朝日が入り込んでくる広い洋風の食堂では、光が入れられていないシャンデリアが2つほどその朝日にキラキラと反射している。硝子製と言っても宝石以上に光を放つ。
 なんとも贅沢な明かりの下、白いワイシャツに黒ネクタイ、黒いベストを着用した青年が何人かテーブルに座るたった一人にきびきびと働いていた。
「そんなの昨日の仕事放り出した理由にならないよな、嵩森さん」
 テーブルに座り、高級と思われるハムを突く青年が呆れたように頬杖をつく。それに、彼の背後に立っていた青年がため息を吐いた。
「千草様の言う通りです」
 嵩森と呼ばれた青年は働く青年達の動きを厳しくチェックしてから、主人の目の前に両手に皿を持ち現れた俺に視線を流した。俺の顔には、昨晩の騒動を裏付けるように絆創膏がいくつか貼られていたが、彼等がそれに同情する事は無かった。
「……申し訳ございませんでしたー」
 全く謝る気がない声で言いつつ、手に持っていた皿をテーブルの上に置いてゆく。勿論、料理の内容説明も忘れずに。しかし、そんな俺に嵩森は一言
「秀穂、笑顔」
 そう言われて自棄になりニッと顔の筋肉を動かしたが、注意した嵩森さんは目を逸らし、一応この場の主人である千草は「可愛くない……」とため息を吐いた。
 どこまでも失礼な上司達だ。
 すぐに表情を元に戻すと、唐突な筋肉の動きに昨夜出来た傷が痛み、何となく泣きたくなった。
 昨晩、俺に叩きのめされた男が俺のこんな姿を見たら一体どう思うだろう。今、俺の耳にはピアスなどぶら下がっていないし、手に指輪は一つも光っていない。
 昔は売られた喧嘩は買う主義だったので、その名残で街中にゆくと知らない顔にたまに喧嘩を売られることがある。そうなってしまったのにはそれなりに理由はあった。
 幼い頃両親に捨てられ、入れられた孤児院では運営者に殴られたり蹴られたりの暴行を受たりと、それなりに悲惨な半生を送ってきた自覚はある。殴ったり殴られたり、それが俺の日常だった。
 そんな俺、和泉秀穂は、何の運命の巡り合わせかこの国でもかなり金持ちの部類に入る家で執事見習いとして働いている。
 実はこの家が何故ここまで金持ちなのかは詳しく知らない。昔は華族だかなんだかだったという話は聞いていたが、取り敢えず金持ち。その程度の認識だった。
 取り敢えず本当に金持ちなのだ。本来、この家は全体的に和風の造りになっていて、普段主人も使用人も着物で過ごしている。だが、次男の千草が洋式も楽しみたいと言って、この洋風の食堂が作られた。そんな事が簡単に出来る程度には金持ちだ。
 金持ちはみんな屑。そんな認識もあった。
 けれど、3年ほど前、孤児院に帰るのも嫌で雨の路地をフラフラ歩き、喧嘩の傷が痛みしゃがみ込んだその時、彼が手を差し伸べてきたのだ。
 この家を次に継ぐ名、蒼龍という愛称で呼ばれる、蒼井秘色その人に。
 彼は、俺の話を聞いてすぐにその孤児院の内情を表沙汰にしてくれた。勿論、運営者は捕まり、孤児院にいた子ども達はそれぞれしかるべきところに引き取られていった。みんな、地獄から解放されて元気にしているらしい。
 俺はというと、他の孤児院に行く気にはなれず、蒼龍様に頼んでこの蒼井家で働かせて貰うことになった。彼に恩返しが出来ればいいと思っての選択だ。
 だから、喧嘩もスッパリ止め、毎日執事修行に励んでいたわけだが……。
「秀、そろそろ仕度しないと遅刻するんじゃないかな」
 食後の紅茶を飲みながら、千草が呑気に言った台詞に、皿を片付けていた俺はハッとする。学校があるから普段朝の仕事は免除してもらっていたのだが、昨晩例の事で仕事をサボることになりその分朝働くことを俺から言い出した。
 そういう千草も俺と同じ学校の制服を着ている。けれど、彼がのんびりしているのは車で行くから。使用人である俺が車でなんて行けるわけもなく……千草は一緒に行こうと誘ってくれているが、うちの学校の生徒会長で生徒にかなり人気があるコイツと一緒に行ったらどんな目に合うか。正直冗談じゃない。
「まだ皿の片づけが……」
「いいのかな?遅刻したら怒られるよ?兄さんに」
 兄さんに。
 千草のしたり顔は癪に触ったが、彼の言葉が頭の中に響く。
「……すみません、嵩森さん」
 縋るように彼を見れば、執事長である彼は早く行け、と目線で言ってくれていた。
 それではぎ取るように腰に巻いていた黒いエプロンを取り、自分の部屋へと駆け出した。
 広い廊下を走りつつ、どうしてこの屋敷がこんなに馬鹿広いのかただただ呪う。金持ちだからだよ!と心の中で叫びながら黒いネクタイを外した。最近、ワイシャツは学校指定のものを着て仕事をしてもバレないという事に気付き、今もそれを着ていた。これでかなりの時間短縮になっている。ポケットから学校の青いネクタイを取り出し、走りながらそれを結ぶ。
 本当は、自分がこんなネクタイを首に巻く日が来るとは思ってもみなかった。学ランの制服で最後だと思っていたし、そのつもりだった。
 でも、嵩森さんに執事たる者最高学歴は大卒であるべきと言われ、千草には一緒の学校に行きたいと甘えられ、極めつけは
「おはようございます、蒼井先生!」
 全速力で走り、県内一の学力を誇る私立高校の朝の職員室に駆け込んだ。もう日常の一コマになっているらしいが、いまだにこんな行動を取る俺に目を点にする教師は多い。まぁ、見た目が見た目だからだろう。地毛だけど薄い髪の色、地だけど青い目、それと耳のピアスに手につけているいくつかの指輪。
 一見すれば不良と呼ばれる人間に見える俺が、朝の職員会議前に職員室に駆け込み、担任でもない教師に挨拶する光景に、始めの頃は職員室の空気が凍り付いていた。
 そんな空気などにも構わず、蒼井先生……俺の真の主人であり恩人、蒼龍様は穏やかな笑みを向けてくれた。
「おはよう、今日も元気が良くて何よりだ」
 そう、この人がこの学校の教員になると聞いて俺は進学することに決めた。
 この学校は、蒼井家が創設し、理事も彼の父。ゆくゆくは蒼龍様が蒼井家を継ぐことになるだろうが、蒼龍様は教育者を目指していたということで、数年この学校に勤めることを旦那様が認めたのだ。
 でも蒼龍様は元々病弱で、それなのに彼は自分の体の健康管理が物凄く下手だった。運動神経も悪くなく、むしろ良い方なのだけれど、1時間運動したら次の日倒れてしまう。季節には必ず風邪をひくし、食事をおろそかにしたら貧血で倒れてしまう。
 俺がこの学校に入学したのは、そんな彼を影から執事として支える為でもある。と、嵩森さんからも言われたから恐らく彼は始めからそれを目論んでいたに違いない。流石蒼井家執事長といったところか……。
 まぁ、使用人として、登校したら真っ先に主人に挨拶するのは当然の事だ、ということで毎朝職員室に向かっている。
 実際俺より身長がある彼に倒れられては、介抱なんて満足に出来ないし、蒼井家次期当主のそんな無様な姿を周囲に晒すわけにもいかない。これは蒼井家執事見習いとして重要な仕事だと思っている。
 かといって、俺が彼の家の執事見習いであることを他の人間に知られるわけにもいかない。この学校にも一応喧嘩ばかりしていた時代の俺を知る人間もいる。こんな俺が蒼井家に仕えているなど知られたら、蒼井家の恥だろうし俺に恨みを持つ人間が蒼龍様や千草に何をするか分かったもんじゃない。
 だから、朝の挨拶以外で人前で蒼龍様に会う事はなるべく避けていた。ピアスも指輪もカモフラージュの道具だ。こんな人間が、蒼井家に関係しているはずがないという先入観を持たせる為の。
 職員室から出て、自分の教室に向かうと、いつものように廊下を歩いていた生徒達は俺を避けるように端に寄る。大して気にも止めず、自分の教室に入った。
 賑やかだったクラスが一瞬静まり、俺が机に鞄を置き、椅子に座ると再びざわめきが生まれる。このクラスに友人と呼べる人間はいない。
 外見はともかく毎日学校に来ているし、成績もそう悪くない。一応学年10位以内には入っている。やるべき事はこなしているから別に周りなんてどうでも良かった。
 ぼんやり窓から外を見ていたら、どこからともなく黄色い声が聞こえてくる。
「千草先輩よ!」
 そんな女子の声に、納得する。俺より遅く出た千草が登校してきたらしい。黒塗りの外国車が校門前に止まるのがここからでも見えた。運転手を務めるのは確か、高橋さんだ。
 車から出て来た彼の周りにはすでに何人か人が集まり、そんな彼を遠巻きに見ている人間も数多い。千草はこの学校の生徒会長で人望も厚いし人気もある。
 正直、学校で千草とはあまり関わり合いにはなりたくないのだが……アイツがそれを許さない。
 ぼんやり千草が校舎の方へと歩いてくるのを見ていると、不意に顔を上げたヤツと目線が合ってしまった。あ、と思った時はもう遅い。
 にこりと笑ったアイツが俺に向かって手を振ってきたが、慌てて俺は目を逸らした。反射的な行動だったが、これで何度も失敗している事をすっかり忘れていて。
 同じクラスの女子が「千草先輩が私に手を振ってくれた!」と喜ぶ声が聞こえ、それでいい。それでいいのに。
「しゅーぅほー!!」
 運動部で鍛えた腹筋を使って思いっきり俺の名を叫ぶ千草が………本当、主人じゃなかったらぶん殴ってる!
 秀穂、という名前に聞き覚えがない周りは首を傾げ、思わず頭を抱えそうになったけれど、
「秀穂!おはよー!返事はー!?」
 あの野郎返事しない限り叫び続けるつもりだな……。
「秀穂って、誰の事?」
「さぁ……」
 窓のところにいたクラスの女子の会話が横で聞こえたが、そんな彼女たちを押しのけて、俺は窓から顔を出し、そして。
「朝っぱらからでかい声出してんじゃねぇ!やかましい!!」
 そう、叫んでその窓を力いっぱい閉めた。
 後に残るのは、クラスメイトの俺に対する恐怖と怯えの視線。今後ろを振り向いたら絶対千草が爆笑している姿を見てしまうだろうから、それはしなかった。
 御陰様で、俺は人気生徒会長に敵対する馬鹿な不良という目で見られつつあった。


「何であんな事するんですか。学校ではなるべく俺に関わらないようにと言ってるじゃないですか」
 昼休み、生徒会長の千草の城である生徒会室で昼食の用意をしながら彼にはしっかりと釘を刺す。生徒会室に入るのだって人目を忍んでいるというのに、彼は俺の苦労を全く分かってくれていない。
「何で?」
 しかも、不思議そうに首を傾げてきた。
「何で、って言ってるじゃないですか。この学校には俺に恨みを持ってる人間もいるんです。貴方達との関係を知られて、何かあったらどうするんですか」
 それが俺が一番恐れている事だ。俺に恨みを持っている人間が、彼等に手を出そうとしたら俺はもう蒼井の敷居は絶対に跨げない。
 けれど、千草は少し考え込み、もう一度首を傾げた。
「俺、剣道も合気道も柔道も段持ちなんだけど?」
「千草様はともかく、蒼龍様が心配なのです!」
 俺は思わず力いっぱい机を殴っていた。
「あ。何かはっきり言われちゃったんだけど」
 そう、蒼龍様もそれなりに武術は使える方だけど、病弱だしそれに教師という立場上むやみやたらに生徒に手を出す事は出来ない。もし彼に何かあったら。本当にそれだけは考えたくない状況だ。
「俺は学校でも秀と遊びたいのにぃ」
「俺で遊びたいの間違いでしょう」
 素っ気なく彼の甘えた声をたたき落とし、紅茶をカップに注いだ。紅茶の淹れ方も嵩森さん直伝で、今でも修行中だ。
 真剣に彼から教わった事を思い出しながら用意しているというのに、千草は俺の首に腕を回してきたり、頭を撫でてきたりと邪魔ばかりをする。
「……千草様」
「何?」
「ウザいです」
「酷い……でも、秀穂は俺の執事なんだよね?」
「正確には蒼井家の執事見習いですが」
「うん、まぁ、それ。ってことは、ご主人様の命令は絶対……だろ?」
 何かを思いついたのか、彼は悪戯っぽく笑い、俺の顔を覗き込んできた。
「基本的には」
 そう答えると、彼は笑みを深めて
「よし、なら秀穂!目一杯触らせろ!」
「良いですよ、はい」
 熱いティーポットを持ったままでは危ないだろうから、それをテーブルに置いて俺は両手を上げた。
 その行動の何が悪いのか分からないが、何故か千草はがっくりと肩を落とす。
「何それ、燃えない……秀穂、もう少し嫌がろうよ」
「ご命令とあらば。止めて下さい千草様」
 演技というものはそんなに得意ではないので、若干棒読みだったが、彼の顔に平手打ちをするという行動でいくらかカバーされたんじゃないだろうか。
 ちょっとだけ力を込めたその平手の攻撃は結構効いたらしい。彼はソファに崩れたまま、しばらく顔を上げてくれなかった。
 まぁ、良いか……。この方が静かで。
 今日は時間があるから一緒に昼を食べれる、と蒼龍様も言ってくれたから気合いを入れて紅茶を入れる作業に戻る。昼はなるべくこの生徒会室で千草も蒼龍様も昼食を食べることになっていた。というか、そうして貰うように俺が蒼龍様に頼んだ。彼は見張っていないときちんと三食食べないと嵩森さんからも言われていたから。
「遅くなって悪かったな……」
「蒼龍様!」
 その時、謝りながら彼が生徒会室に顔を出した。そして、すぐにソファにうずくまる弟君に気付き、首を傾げた。
「……千草はどうしたんだ?」
「ああ、何か俺に触りたいというので、どうぞと言ったら嫌がれと言うので平手打ちをしてみたんですが」
 簡単に状況説明すると、蒼龍様はにこりと笑い、俺の頭を撫でる。
「そうか。秀穂、別に本気で殴ってもいいんだよ、そういう時は」
「そうなんですか。俺、次から頑張ります!」
 蒼龍様がそう仰られるならそうなんだろう。
 ぐっと力いっぱい拳を握れば、ソファから慌てた千草が顔を上げる。
「ちょっとー!!殴られたら本気骨いくから止めて下さい!!」
 そんな千草の頬には、しっかりと赤い手形がついていた。……やりすぎたか?
 けれど、蒼龍様は気にしなくて良いというから……まぁ、いいか。
 千草はその頬を撫でながら、何故か蒼龍様を睨み付けている。
「そうそう、友だちもちゃんと作らないとダメだって。秀穂」
 そして何の仕返しか、千草が余計な事を言い始めた。
 弟の言葉に蒼龍様も驚いたようで、整った容姿を驚きの形に変える。
「秀穂、クラスに友だちいないのか」
「そんなの必要ないでしょう、俺はあなた方の面倒をみる為にここに来ているんです」
「何言ってんだ。スクールディズに友だちは必須だよ?」
 友だちが多い千草はさらりと言ってくれるが、正直なところ喧嘩でしか他人と対話をしたことがない俺が、友だちなんてものを作れるかは正直怪しいところだ。
 ここは適当に流しておこう、と適当に返事をしようと口を開きかけた時
「秀穂、友だちは作りなさい」
「蒼龍様の仰せの通りに」
 蒼龍様にそう言われてしまっては、従うしかない。俺はこの時、今日中に最低1人は友人を作る事を約束させられてしまった。


 その後、教室に戻って比較的俺と平気そうに会話が出来る人物その1であるクラスメイトの日向翔が話しかけてきたので、頬杖をついてその話を聞き、内容はクラス行事のことだったと記憶しているが全てを聞き終えてから「俺と友だちにならないか」と何の脈絡もなく言ったところ、ヤツの動きが固まった。
 再起動したと思えば、何故かアワアワと慌て始め、それを不審に思ったヤツの友人甲賀克己が寄ってきたらそいつに「克己、和泉が壊れた……」と言っていた。一瞬壊れたのはお前だろう日向。
 必要以上の慌てっぷりに機嫌を損ね、2人から視線を外し窓の外を眺めてたら、それにまた慌てた日向が
「お、俺で良ければ……あ、じゃあついでに克己も」
 その時の甲賀の顔は不満げだったが、何だか愉快な気分になるくらいには俺は甲賀の不快げな顔が好きらしい。これがしょっちゅう観れるというなら、コイツらと友人関係を築くのも悪くないかも知れない。
 蒼龍様、友だちが1人どころか2人も出来ました。
  



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けんかっ早い執事っていいなーと思って出来た一品です。
メインとは全然違いますが、これで彼等に興味を持って頂けたらいいな……!
販促小説(笑)でもメインの方の彼等は大分切ない関係です。