「うー、天気も良いし掃除でもするかなー」

 今日は久々のオフ。嬉しい事に朝から快晴だったから、部屋の掃除でもするかと翔は気合を入れる。

「休みの日くらいのんびりすればいいのに」

 感心するような声をかけてきたのは同室の克己だ。そう言いつつも彼の手には愛用の銃が握られ、

 掃除を始めようとしているから人のことは言えないだろう。

「のんびりって言ってもなぁー・・・・・・寝るくらいしか思いつかな・・・・・・あ、昼間に大浴場に行くってのもいいかもな」

 普段は疲れて大浴場まで行く力さえ残らないから部屋についているシャワーで済ませていた。

 女の子ではないけれど、たまには大きな風呂で手足をのばしてのんびりするのもいいかも知れない。

「掃除終わったら行ってみるかー。克己もどうだ?たまには男同士裸の付き合いを!」

「お前もお決まり文句言ってくれるな・・・・・・」

 克己はどこか呆れた様子だったが、断わりの言葉が無いところをみるとどうやらOKらしい。

 一人で入るのも良いが、広いところでは大人数の方が楽しいだろうし。

「俺、背中流し合いとか修学旅行以来だよー」

「・・・・・・やる気なのか」

「ダメ?あひる隊長もやりたいって言ってるよ!」

「は?あひる?」

 翔の手には湯船に浮かべて遊ぶらしいアヒルのオモチャがいつの間にか鎮座していた。

「この間雑貨屋で買ったんだー。可愛いだろー?」

 満面の笑みで言う翔には、どこからどこまで突っ込めばいいのか解からなかった。

 雑貨屋、というのは多分軍が運営している雑貨屋なのだろうけれど、なんでそんなものを販売しているのだろう。

 まさか変な仕掛け付きか、と思って翔の手からそれを受け取り思いっきり握り締めてみたが、柔らかい素材で

 出来ているだけのそれは「きゅう」と鳴って少量の水を吐き、潰れるだけ。

 正真正銘ただのあひる隊長だ。

 自分は少しこの軍に対して疑い深いのだろうか。

 そして翔、お前はもう少し疑え。

 あひる隊長に笑いかけながら遊んでいるルームメイトにそれを注意してやろうと彼を視界のど真ん中に入れた。が

「ほらほら、克己―、見て見て、このぬいぐるみ水につけると色が変わるんだー」

 あひる隊長と一緒に購入したらしいビニールで出来た熊の人形を満面の笑みで抱き締める彼の姿に、軽くノックアウトだった。

 何かもう色んな意味で直視出来ない。

「そうか・・・・・・良かったな」

 って何が良いのかわからないぞ、俺。

 多分人生で初めて自己突っ込みをしている。

 そんなどうでもいい発見を心の中でしていても外見はいつも通り。

「わーい、お風呂―、広いお風呂―、克己、掃除終わったら行こうなー」

 すっかり浮かれているらしい翔に、湯水の如く流されるしかないらしい。

「翔、でも背中流し合いは無しだ」

「え!?」





踏み躙る・・・・・・翔の好意を踏み躙って、ます・・・・・・。
てゆーか据え膳叩き壊しただけですね。
この後どうなったんだろう・・・・・・。